水槽を初めて立ち上げしばらくすると、水槽のガラス面や底床、水草やレイアウトの石などに茶色いコケが現れてきます。
初めて水槽を立ち上げた人にとっては、汚いコケが現れだして不安な気持ちになるかもしれません。
逆に、何度か水槽を立ち上げた事がある人にとっては、この茶色いコケが発生すると水槽の水が出来上がってきている証拠として、安心感を覚えるでしょう。
この水槽のガラス面や底床などに表れる茶色いコケは、茶ゴケと呼ばれ珪藻(珪藻)というものです。
特に水槽立ち上げの初期段階で目にする場合と、ある程度水槽を維持した後に出てくる場合とがあります。
ガラス面に発生した場合には、割と簡単に刷り取ることが出来ますが、ソイルや水草、レイアウトの石などに発生した場合は処理するのがちょっと面倒なところです。
そんな、水槽に必ずといっていいほど発生する、茶ゴケ(珪藻)が水槽に発生する原因とその対策・対処方法を解説します。
茶ゴケ(珪藻)とは
茶ゴケ(珪藻)は、植物プランクトンの一種で、光合成を行って増えていく藻類で珪藻(けいそう)と呼ばれています。一口に珪藻と言っても、多くの種類の珪藻が存在しています。
自然界の中では、淡水や海水にも存在し、また、水があるところには必ずといっていいほど存在しています。
珪藻が確認されている水のpHは1.2~11で、酸性からアルカリ性の広範囲の水質中で確認されています。
浮遊性の珪藻と定着性の珪藻などがあり、浮遊性の珪藻は早く増殖し、定着性の珪藻は増殖が遅いと言われています。
渓流や河川などで、冬から春にかけて川底の石に茶色く付着しているのも珪藻で、この事からも強い光よりも弱い光が好みである事が分かります。(夏に太陽の当たる角度が変わり、光の強さが変わってくると、緑藻などが優位になってくることで珪藻が減少しているとも言えますが。)
珪藻自体の殻は、ケイ酸質出来ていることからもケイ素を必要としている事が分かります。水槽内に発生する「茶ゴケ」と呼ばれる珪藻は、多くの藻食性の生体が好んで食べます。
貝や甲殻類(エビ類)、魚類(アユなどが有名)など珪藻を食べる生体を入れる事で、水槽内の珪藻を減らす事が出来ます。
ただし、珪藻が全て無くなると言うわけでは無く、目立たないレベルで減少しているという状態です。
水槽内に茶ゴケ(珪藻)が増えるタイミング
水槽立ち上げ途中に現れる茶ゴケ(珪藻)
水槽内に茶ゴケ(珪藻)が増えて、目立ってくるタイミングがいくつかありますが、特に目にするタイミングは水槽立ち上げの初期段階です。
これが、まさに茶ゴケ(珪藻)で、触るとヌルっとした感触で、簡単に刷り取る事が出来ます。この時に表れる茶コケの特徴は、フワフワした見た目の物が多いです。
ちなみに、この茶ゴケ(珪藻)が現れたあとは、緑色のコケである緑藻などが次に表れてその後は、茶ゴケ(珪藻)が目立たなくなると言われています。
この茶ゴケ(珪藻)から緑藻などが現れてくるサイクルを見ると、何度も水槽を立ち上げた事がある人にとっては、水槽の水が出来上がってきている証であると言われています。
このような理由から、ろ過バクテリアの繁殖の目安にもなっている程、水槽立ち上げ初期段階ではよく見られているのが茶ゴケ(珪藻)です。
ろ過が安定してから現れる茶ゴケ(珪藻)
逆に、水槽の水が出来上がって(ろ過が安定して)しばらく経ってから、ガラス面などに茶ゴケ(珪藻)が現れてくる事があります。
特徴としては、硬い基質のようでフワフワとした茶ゴケ(珪藻)と違って、ガラス面などを擦るとある程度は取れますが、完全に取るにはちょっと力を入れて摺り取らないと完全には取り除けないタイプです。
この茶ゴケ(珪藻)は、確証はありませんが多分、定着性の珪藻だと思います。
茶ゴケ(珪藻)が増える原因と対策方法
増えてくる原因
先ほども書きましたが、茶ゴケ(珪藻)は光合成を行い増殖していく植物プランクトンの一種です。
水槽内に栄養である硝酸塩が増えて、さらに、光合成を行うための光と二酸化炭素(CO2)があると茶ゴケ(珪藻)が増えていく要素が揃います。
硝酸塩は、生体などの糞や餌などから発生するアンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩の流れで増えていき、光は照明器具や水槽外の間接光なども考えられます。
また、二酸化炭素(CO2)はやはり生体が発生させるので、水槽内にはある程度の二酸化炭素(CO2)がある状態になります。
写真の茶ゴケ(珪藻)が発生した環境は、新規で水槽を立ち上げ、生体は小型カラシン系の3匹、照明器具は点灯させず、北側の弱い間接光が水槽に当たる状態で3週間後に発生してきました。
通常、水槽にコケが発生するようになると、水替えをして水槽に溜まっている硝酸塩を水槽外に排出する事が効果的ですが、茶ゴケ(珪藻)の場合は水替えによって水道水に含まれるケイ素を水槽内に補充する事になる点には注意が必要です。
対策方法
茶ゴケ(珪藻)は光合成を行って増殖する事から、まずは、水槽内を照らす光について見直す必要があります。
また、照明以外でも水槽へ直射日光や間接光が、当たっていないかも見直す必要があります。
次に、水槽内に溜まっている硝酸塩への対策になりますが、生長の早い水草を入れておくとそれを肥料分として消費してくれるようになるので、生長の早い水草を大量に植えるのは非常に有効です。
陰性水草が多い場合は、陰性水草自体の生長速度が遅いため、水槽内で過剰になりつつある硝酸塩の吸収はあまり期待できないので、その場合は浮草を水面に浮かべておく事で水槽内の硝酸塩を吸収させて減少させる事が出来ます。
水槽立ち上げ初期に発生する茶ゴケ(珪藻)の場合は、他のコケ(緑藻など)が現れだすと徐々に茶ゴケ(珪藻)の勢力が弱まっていずれ消えてしまいますが、ガラス面に表れてどうしても気になる場合には、メラミンスポンジなどで摺り取ってしまった方が早いです。
水草の表面などに付着している場合などは、歯ブラシなどを使って摺り取ったりも出来ます。茶ゴケ(珪藻)を食べる生体は多くいるので、それらの生体を水槽に入れておくことである程度は対処することが出来ます。
茶ゴケ(珪藻)を食べる生体で対処する方法
水槽に発生する茶ゴケ(珪藻)を食べてくれる、藻食性の生体は多くいますが、それ目的のみで入れてしまうと茶ゴケ(珪藻)が目立たなくなった後の飼育が逆に大変になる事があります。
エビ類(甲殻類)
水草水槽などでコケ対策として飼育される機会が多いのが、ヤマトヌマエビやミナミヌマエビなどに代表される甲殻類です。
エビなどにとっては、茶ゴケ(珪藻)は大好物でもあるので、水槽に入れるだけで相当な効果があります。
ただし、ガラス面などに付着している茶ゴケ(珪藻)は、あまり上手く食べれません。
小型水槽の場合なら、体長が小さいミナミヌマエビの方が、存在感が目立たないのでオススメです。
60cm水槽以上なら、ヤマトヌマエビの方がコケ取り能力も高いのでオススメです。
オトシンクルス
ガラス面や石・流木、固い葉を持つ水草などに付着する茶ゴケ(珪藻)には、オトシンクルスがオススメです。
ただし、他のコケもある程度は食べますが、人工飼料にも餌付けさせておかないと餓死する可能性もあります。
貝類
ガラス面や石、底床などに発生する茶コケ(珪藻)の対処には、貝類を入れるのもオススメです。ただし、ガラス面やレイアウト素材などに卵を産み付けてしまうことがあり、逆にその卵が気になってしまうことも。
小型水槽の場合には、サイズが小さいコウモリカノコ貝がオススメですが、ショップによっては扱っていない場合もあります。
60cm水槽以上なら断然フネアマ貝がオススメです。
緑藻なども食べてくれますが、ガラス面と底床部分に接しているところにも潜っていくことがあるので、水草水槽の前景草を植えてある部分は掘り返されてしまうことも。
小型エビによる茶ゴケ対処例
30cmキューブ水槽を、底面ろ過方式で立ち上げた水槽です。新規立ち上げから約3週間で、ガラス面や底床のソイルに茶ゴケ(珪藻)が現れてきました。
そこで、小型エビを入れてどれ位の期間で、茶ゴケ(珪藻)が消えてしまうか試しました。
別水槽で繁殖し増えているルリーシュリンプ15匹を、この30cmキューブ水槽に。ルリーシュリンプは、レッドチェリーシュリンプの改良品種でミナミヌマエビと近縁なヌマエビです。
藻食性は、ミナミヌマエビと同等くらいでしょうか。
水槽にルリーシュリンプを入れてしばらくすると、ソイル部分に付着している茶ゴケ(珪藻)をツマツマして食べ始めました。
ガラス面の茶ゴケ(珪藻)を食べようとしていますが、あまり上手く食べれていないです。
実際、翌日にはソイル部分に目立っていた茶ゴケ(珪藻)は、ほとんど目立たないほど無くなっていました。
ルリーシュリンプがソイルの茶ゴケ(珪藻)を食べてくれたので、取り合えずレイアウト用の石を置いてみたところです。ガラス面には、茶ゴケ(珪藻)と薄っすら緑色の緑藻が見えます。
やっぱり、ガラス面に付く茶ゴケ(珪藻)などには、オトシンクルスや貝類がいいでしょう。もしくは、人力で摺り取ってしまう方が一番早いかもしれません。
茶ゴケ(珪藻)が水槽に発生する原因と対策・対処方法のまとめ
水槽立ち上げ初期に発生する機会が多い茶ゴケ(珪藻)は、しばらくすると勢力を失い目立たなくなりますが、逆に他のコケが目立ってきます。
ただし、このようになってくると水槽のろ過が出来上がってきている状態を表しています。
茶ゴケ(珪藻)は、弱い光が好みなので、長い時間弱い光が当たっていると増えやすくなります。
ただ、見た目的にも汚いので、スポンジなどで摺ったり、茶ゴケ(珪藻)を食べる生体を導入するといいです。
最終更新日:2023/12/13
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