水草水槽などで使われる機会の多い水槽用外部式フィルターは、メンテナンスをするさいにフィルターを停止させ、接続されているホースを取り外し、移動させたりとちょっと面倒なところもあります。
そのせいか、外部式フィルターのメンテナンスをさぼり気味になると、徐々に水槽へ排水される流量が低下してきます。また、それ以外でもフィルターの排水する流量が低下する場合があります。
そこで、水槽用外部式フィルターの流量が低下した場合の原因と対策・対処方法を解説します。水槽に外部式フィルターを初めて設置したという方向けの内容です。
ストレーナースポンジ・ウールパッド・ろ材のチャネリング(目詰まり)
水槽用外部式フィルターの流量が低下する一番の原因として考えられるのが、ストレーナースポンジ・ウールパッド・ろ過用ろ材のチャネリング(目詰まり)による事でしょう。
定期的なメンテナンス(掃除)をしておくとろ材のチャネリングは防げますが、これらのメンテナンスをするタイミングを変えた方が、飼育水を綺麗にしてくれる好気性バクテリアのためにはいいです。
ストレーナースポンジのメンテナンス
外部式フィルターの吸水ストレーナー部分に付けるスポンジをストレーナースポンジといい、水槽内で繁殖している稚魚や稚エビが外部式フィルター内に吸い込まれるのを防ぐ目的があります。
また、水槽飼育魚の餌や枯れた水草などが、外部式フィルター内に直接吸い込まれるのを防ぐ目的もあります。
もちろん、このストレーナースポンジは好気性バクテリアの住処にもなるので、物理・生物ろ過材としても利用されています。
このストレーナースポンジには、粗目や細目などの種類があり、水槽の環境にもよりますが一番早くチャネリング(目詰まり)し、流量低下する大きな原因になります。
ストレーナースポンジは、飼育水中に漂っている汚れ(餌や生体の糞など)を物理的に濾し取ってくれるので、外部式フィルターのメンテナンス頻度を下げてくれる役目があります。
しかし、その物理ろ過の役割からか、2週間もすると相当汚れてしまいます。
ストレーナースポンジの汚れを落とす方法として、通常は飼育水でストレーナースポンジを軽く濯いであげればいいです。
特に、生物ろ過目的よりも物理ろ過目的でストレーナースポンジを付けているのであれば、飼育水中で数回揉むとあっと言う間にバケツの中が黒くなるくらいです。
飼育水が写真のように真黒くなり、どれ程汚れていたのかがすぐに分かります。
ウールパッドのメンテナンス・交換
このテトラVX-75の外部式フィルターは、約半年ほどメンテナンスをしていなかった状態です。めちゃくちゃ外部式フィルター内に、スラッジ(汚泥)が溜まっているのが分かると思います。
モーターヘッドを外して見えた範囲で外部フィルター内はこれだけスラッジが見えるので、底部分はさらに相当のスラッジが溜まっているはずです。
ウールパッド自体は目が細かい物が多いので、やはりチャネリングを起こして流量低下する原因になります。
2か月に1回程度のメンテナンスであれば、ウールパッドを飼育水で濯いで汚れを落とせば再使用することも可能です。
ただ、自分の場合はメーカー純正のウールパッドでは無く社外品の格安ウールパッドを使用しているので、あまり長持ちしないためメンテナンスをする度に交換するようにしています。
ファイルター内ろ材のメンテナンス
外部式フィルター内にセットしてある、ろ過用のろ材がチャネリングして流量低下を起こしている場合があります。
粗目のスポンジろ材やリングろ材など好みのろ材を使用したりしますが、あまりにも目の細かいタイプのろ材を使っている場合には、早目にチャネリングを起こしてしまう可能性が高くなるので、細かいメンテナンス頻度が必要となってきます。
また、ろ過槽内に小さいろ材をたくさん詰め込み過ぎた場合にも、通水時の抵抗が増えて流量低下を起こす場合があります。
粗目のスポンジマットやろ材は、飼育水で軽く濯いでスラッジを落としたらいいです。
あまりにも汚れているからといって、水道水で洗うと外部式フィルター内の命であるろ材に定着した好気性バクテリアも一緒に洗い流してしまいます。
このような状態でフィルターを再度セットすると、今度は、飼育水が白く濁るようなトラブルが発生する場合があります。
自分の場合、外部フィルター内のメンテナンス後にはしっかりとエアレーションを行うようにしています。
水草水槽の場合でも、2~3日程度は常時エアレーションをして、ろ材からメンテナンスをする事で多少なりとも減ってしまった好気性バクテリアの再定着を促すようにしています。
ホース・吸水・排水パイプ・接続器具の汚れ
外部式フィルターに接続している、ホース内の汚れや吸水・排水パイプ内の汚れも、流量低下の原因になっています。
自分も外部フィルターを使い出して初めの頃は、ホースやパイプの汚れが流量低下の原因になっていると思っていませんでしたが、意外とこのホースやパイプの汚れを落とすとフィルターからの流量が元に戻る場合が多いです。
接続ホース・吸水・排水パイプのメンテナンス
外部式フィルターに接続しているホース内には、しばらく使用していると自然と茶色い汚れが付着してきます。
このホース付着した汚れが流量低下の原因になっている場合があるので、しっかりとメンテナンス時に取り除いた方がいいです。
ホース内の汚れを落とすには、ホース専用のブラシを使用したら簡単に汚れが落とせます。
自分的には、この茶色い汚れがホースから出てきた瞬間、「何か詰まっていた物が取れた!」というような気持ちよさがあります。(笑
弾力のあるグリップで力が伝わりやすく、汚れがよく落ちます。先端曲げ加工でパイプ内を傷つけません。
自分は、吸水・排水パイプにADA製のガラス製品を使っている水槽があります。
やはりガラスに付いた汚れを落とすと流量が元に戻ってくる上に、見た目の汚さが無くなるので定期的(2週間に1回程度を目安)にメンテナンスするようにしています。
購入初期時のホースの曲がり
外部式フィルターに接続しているホースは購入初期時こそ柔らかいですが、永く使用していくと徐々に硬くなっていきます。
この購入初期時のホースが柔らかい時などは、ホースの曲がりが流量低下の原因になっている事があります。
しばらく使っているとホースが硬くなってきて、クセがついて多少無理な形になっても折れ曲がるような事は少ないですが、やはり、購入初期時のホースは柔らかい事が多いです。
開閉レバーやタップの開け忘れや締めすぎ
外部式フィルターには、流量調整レバーが付いている物があります。
この開閉レバーをメンテナンス時に、閉じる方向にしてホースを外したりしますが、再度この流量調整レバーを最大まで開け忘れた場合にはもちろん、フィルターからの流量低下を起こします。
また、ホースの間にダブルタップなどを付けている場合には、このダブルダップの開け忘れや逆に締めすぎてしまい、思った以上に流量が低下する場合があります。
これらの場合には、しっかりと見直してみれば気付きやすいので、特にメンテナンスをした後にフィルターの流量低下が起こった場合には真っ先に見直していい箇所です。
フィルターのインペラー部の汚れ損傷・モーターヘッドの故障
外部式フィルターのモーターヘッドにはインペラーが付いていますが、このインペラー周りが汚れていても流量低下の原因になります。
インペラーは取り外す事が出来るので、外部式フィルターをメンテナンスするさいに一度目視で確認してみるといいです。
また、このインペラーの羽が壊れたり、軸がずれてくると流量が低下してきます。
外部式フィルターメーカーから保守部品として別途インペラーのみが発売されているので、もしインペラーが損傷した場合などは該当するインペラーと交換する方法もあります。
場合によっては、モーターヘッドが不具合を起こして上手くインペラーが回らなかったり、最悪な場合は動かなかったりする事もあります。
外部式フィルターで水中モータータイプの場合は、水中モーターが壊れてしまっても交換用が発売されたりしていますが、モーターヘッド内蔵タイプの場合は再度外部フィルターを購入し直す必要が出てきます。
最大揚程が適正値を超えている場合
水槽水面から外部式フィルターの機種毎に最大揚程が決まっていますが、その範囲を超えるような設置方法になると流量低下を起こします。
場合によっては、まったくフィルター内に溜まったろ過された飼育水を排水部分まで吸い上げれない事もあります。
最大揚程は、外部式フィルターの仕様に書かれているので一度目を通しておくといいです。
まとめ
水草水槽などで使われる機会の多い水槽用外部式フィルターは、メンテナンスをさぼり気味になると、徐々に水槽へ排水される流量が低下してきます。
また、それ以外でもフィルターの排水する流量が低下する場合があります。
チャネリング(目詰まり)を起こしやすい順番でいくと、ストレーナースポンジ・ウールパッド・フィルター内ろ材の順番です。
ホースや接続器具の汚れでも流量低下を起こし、フィルター内のインペラー関係にも影響を与える場合があります。
排水部分の流量低下は、その低下した水量がどれ位なのかにもよりますが、フィルター内のろ材に定着した好気性バクテリアにも悪影響を与えてしまう場合があるので、少しでも排水の流量低下が見られたら、今回説明している箇所を見直してみて下さい。
最終更新日:2023/06/09
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