水槽で熱帯魚やエビなどの生体を飼育をする上で、水槽水内の溶存酸素量を高める為に必要なエアレーション。
漠然と水槽内でエアレーションをしている方もいるかもしれませんが、水槽内でエアレーションをする意味は非常に大きいです。
では、どの様にエアレーションを行えば効果的に、水槽水中に酸素を充満させられるのか、また、エアレーション方法について考えてみました。
そんな、水槽にエアレーションをする意味と効果的な方法を解説します。
エアレーション(ブクブク)をする意味
エアレーションとは、エアーポンプから空気を送り込み、接続されたエアーストーン等からブクブクと空気の泡を発生させ水槽内に酸素を供給する事です。
そのエアーストーンから発生する泡の状態をみて、エアレーションをすることを「ブクブク」と呼んだりします。
実際には、水の表面が空気と触れる事で、水槽の飼育水中に酸素を取り込む事が出来ます。
このブクブクした泡だけが酸素を水槽内に供給している訳では無く(多少は水中に溶け込む場合もありますが)、エアレーションにより発生している泡が水槽水面を揺らす事で空気と水面が触れる表面積が増えて、水槽内に酸素を効率良く溶かす事が出来ます。
また、エアレーションをする事で水槽内で水の動きが出来る事により、酸素濃度の低い底面から酸素濃度の高い水面をかき混ぜる役目もあります。
これらの事を総合して考えると、水槽内でエアレーションを行う事により、水槽水中の溶存酸素量を高めるという事に繋がります。
溶存酸素量とは?
溶存酸素量(ようぞんさんそりょう)とは、水中に溶存する酸素の量のことである。水質の指標として用いられる。略称はDO (Dissolved Oxygen)。
引用:溶存酸素量(Wikipedia)
溶存酸素量は、水槽水中に溶け込んでいる酸素の量という事になります。この水槽水中の溶存酸素量が低くなってくると、魚が酸素を欲しがり水面で鼻上げをしたり、甲殻類(エビ類)が水面付近に集まって来たりします。
このように水中の溶存酸素量が少ない状態が長時間続くと….全滅って事になったりするので、アクアリウムをする上で水槽水中の溶存酸素量は、非常に重要な要素になってきます。
水温と飽和溶存酸素量との関係
水槽水中に含まれる溶存酸素量は、水槽水の水温と密接に関係してきます。
水温が高くなると水槽水に溶け込める溶存酸素量(飽和溶存酸素量)は減り、逆に、水温が低くなると飼育水に溶け込める溶存酸素量(飽和溶存酸素量)は増えます。
水温 | 飽和溶存酸素量(mg/L) |
---|---|
35℃ | 7.04 |
30℃ | 7.53 |
28℃ | 7.75 |
25℃ | 8.11 |
20℃ | 8.84 |
18℃ | 9.18 |
15℃ | 9.76 |
上記表のように、水温が高い状態だと水槽水中に含まれる酸素量が低くなってくるので、水温が高くなる夏場などは特に積極的にエアレーションをして、水槽水中の溶存酸素量を高くする必要があります。
もちろん、夏場では水槽の水温を下げて飼育魚に負担を掛けないようにする必要もあります。
関連記事 「水槽の水温を下げる方法のまとめ 高水温を冷却する。」
水槽水中の酸素を消費するのは、何も水槽内に飼育している生体だけではありません。
飼育水の汚れを浄化してくれる大事なろ過バクテリアも酸素を消費し、水草等を植えている場合などには水草が夜間時などに水槽水中の酸素を消費します。
生体を安全に飼育するために必要な溶存酸素量
水槽で飼育している生体を安全に飼育するためには、飼育水に含まれる溶存酸素量の目安があります。
魚類などが生存するためには、溶存酸素量が3mg/Lは最低必要と言われており、負担を掛けないようにするためには5mg/Lは必要であると言われています。
飼育水中には、生体以外にもろ過バクテリアが多く存在しており、水温が高くなるとその活動も活発になり、水中の酸素を消費して増殖していきます。
このように水温が高くなると、飽和溶存酸素量は減少するの対して、酸素を消費するバクテリアなどの活動は活発になるため、必然的に飼育水中の溶存酸素量が減少していきます。
特に甲殻類(エビ類)などの場合は、体内に取り入れた酸素を使うのが上手くないと言われているので、水温が高くなると溶存酸素量が減少するので酸素を上手く取り込めなくなり死んでしまうのはその為だと考えられます。
そのために、特に積極的にエアレーションを行って、飼育水中の溶存酸素量を増やす必要があります。
効果的な水槽へのエアレーション方法
これについては、下記リンクで詳しく検証している方がいますので是非見てみて下さい。
とても勉強になりました。
残念ながら下記リンク先は無くなりました。
エアレーション・気泡と溶存酸素の関係
エアレーションを使用と思うと、大きい泡のエアレーションと小さい泡によるエアレーションが考えられます。実際にどちらの方が水槽中に酸素を取り込みやすいのか。
結論から言うと、しっかりエアレーションをして水面を揺らして上げれば、エアレーションの気泡が大きかろうが小さかろうが水槽水中に酸素を取り込ませる事が出来ます。
また、エアレーションを行うことで水槽内の水流を下から上に起こす事ができ、水槽内全体の溶存酸素量を増やす事が出来るというものでした。
ただし、細かい泡でエアレーションをした場合と、大きな泡でエアレーションをした場合とでは、水槽内の溶存酸素量の増え方に違いがあります。
細かい泡でエアレーションをした場合
水槽内の溶存酸素量を急激に増やしたい場合は、細かい泡の出るエアストーンをつけてエアレーションをする事で、一番素早く水槽内の溶存酸素量を増やす事が出来ます。
夏場の高水温時で水槽内の溶存酸素濃度が低下しやすい場合や、水草水槽で二酸化炭素(CO2)を添加しすぎて水槽内の二酸化炭素(CO2)濃度が高くなってしまい、それを解消するために曝気したい場合などの時は、細かい泡が出るエアストーンをつけてエアレーションを行った方がいいでしょう。
大きな泡でエアレーションをした場合
とくに水草水槽等をしていて、消灯時に二酸化炭素(CO2)添加を中止してからエアレーションに切り替えると思いますが、一気にエアレーションを行うと水槽内に溶け込んでいた二酸化炭素(CO2)が一気に抜け出し、水槽水のpH自体を急激に上昇させてしまう場合があります。
何事も急がつく動作は、熱帯魚等の生体には危険を与えるため、出来たらゆっくりと時間を掛けて飼育水のpHの上昇にもって行きたい場合があります。そのさいは、大きめの泡が出るエアストーンか、エアストーン無しでエアレーションを行うといいでしょう。
細かい泡でのエアレーションに比べて、ゆっくりと水槽水中の溶存酸素量も増えていき、飼育水中に含まれる二酸化炭素(CO2)自体もゆっくりと抜けていくので、生体や水草にとっても負担が少ないのでいい事でしょう。
エアレーションに必要な器具類
エアレーションをするために必要になってくる器具があります。それらの中でも代表的な物を紹介していきます。
エアーポンプ
最大吐出量:2,500cc/分
上の方でも書きましたが、基本的にエアーポンプから空気を送り込みエアーストーンから空気の泡を出して、水面等を揺らして水槽内の溶存酸素濃度を高めます。
吐出量を調整出来るタイプのエアーポンプだと、水槽サイズに合わせて吐出量を調整出来るので、音がうるさいと感じたら、少し絞ってみたりと調整が出来るところがいいです。
エアーストーンでエアレーション
適合エアポンプ:吐出量0.9~1.5L/分程度
一般的には、エアーストーンを付けてエアレーションすると思います。ただし、水面に来ると細かい泡が弾けて、飛沫が照明器具やガラス面に付いたりして手入れが大変です。
水槽にガラス蓋等をすれば防げますが、今度はそのガラス蓋を清掃しないと水が乾いた跡(カルシウム)等がこびりついてしまいます。
インラインタイプでエアレーション
水槽内にエアーストーンを設置する必要が無くなるので、水槽内がスッキリします。
12mmホース用
外部フィルターの排水ホース部分に取り付けて、水槽内にエアーストーン等を置く事無くエアレーションをする物です。自分も最近迄はこれを使用していました。
デメリットとしては、エアーポンプの吐出量が通常よりも多いエアーボンプを使用しないとエアーが出ません。また、外部フィルターに付属している排水パイプにこれを付けると、天ぷらを揚げているような五月蝿い音がします。
このウルサイ音を無くす為には、排水部分をADAが販売しているようなボピーグラスやリリィーパイプなどの様な物に換えると音がしなくなります。
エアーストーンを付けずにエアレーション
最近、私はエアーストーンを付けずにエアレーションしています。
水槽にはガラス蓋をしていませんので、通常のエアレーションをするようにエアーストーンを付けると泡が弾けた飛沫が照明器具に付いたり、水槽外に飛沫が飛び散って水槽周りが濡れてしまい、最悪の場合は水がガラス面を滴ってしまうことがあります。
そこで、敢えてエアーストーンを付けないようにしてエアレーションをすると大きめの泡が発生しますが、水面を大きく揺らしてほとんど飛沫が照明器具に付いていません。
水槽にエアレーションをする意味と効果的な方法のまとめ
今回、水槽水に酸素を送り込むためのエアレーションについて、その意味と効果的な方法を解説しました。自分は、水槽にガラス蓋をしていない為、エアレーションをした時の気泡の飛沫が照明器具に付かないようにエアーストーンを外してエアレーションしています。
ただし、これは自分の場合です。水面を揺らしてあげれば溶存酸素量が増えると言う事で、結局はそれぞれの目的に合ったエアレーションの仕方を選択した方がいいです。
急いで水槽内の溶存酸素量を増やしたい場合には細かい泡でエアレーションを行い、飼育水のpHを急激に変動させたくない場合には、大きな泡でエアレーションを行うといいでしょう。
更新日:2023/12/13
コメント